勝又豊子展
 
横須賀美術館で勝又豊子展をみた。山手線で品川→京急線で馬堀海岸→京急バスでラビスタ観音崎、眼前に拡がる東京湾の海を臨む場所に佇む美術館、約2時間、小春日和スカッ晴れの小旅行である。勝又さんの作品を観るべく地下へ、とはいえ、そこは吹き抜け、天井が高く自然光がシャワーのように降り注ぐ空間、そして鉄枠の重厚な作品群が広がっている。勝又さんの個展はステップスで拝見したことが数度あるが、今回は全く印象が違った。不在の向こうというタイトル、ステップスのスペースで見たときはグーッと作品の内部=深淵→精神の奥底にぐいぐい引き込まれる感覚だったのが、ここでは浮遊感が勝ってる気が。不在の向こう-白い余白、というサブタイトル?が示す如く、まさに広大な余白が作品に及ぼす影響がそうさせるのか、スペースでここまで作品の見え方が変わるのね! そしておそらくは、ここまで足を運ぶという身体的労力、海を臨む解放に満ちた身体で浴びる風の喜び、その精神的然様、、が鑑賞そのものに影響を与えている。そういえば、先日、梅ヶ丘に訪ねた上田朱さんの切手アートの愛の深さも、そこに身を運び手に取って一塩味わえるものだった。
 
作品は眼で見るもんやないですね。
2023年11月30日木曜日