ゲルハルト・リヒター展
 
ゲルハルト・リヒター展を東京国立近大美術館で観た。ドンと目の前に現れたグレーに着色されたキャンバス。
グレーは基本どの色にも合う気がするし、グレーそのものが潜在的に全てのカラーを内包する気もする。そんなニュートラルから解き放たれるカラーはモザイクに配置されるかと思えばレーザービームよろしく、矢のように空間を射抜く。顕現するカラーをエッジとすれば、それは被写体として形を求めることを得意とし、グレーはぼんやりとしたイメージそのものを求めているともいえる。
まさに曇り空がこれから晴れて青天となるか、どんより紫を帯びた雨になるのか、あるいは夕焼けの赤に染まるのか、それらを占う起点としての存在としてのグレー。リヒターが描くポートレート群に注目する。写真を下に描かれ、肖像画や風景は全てエッジが曖昧でぼやけているが、その全てを概念的に集約しているのが彼の描くグレーではないのか、と思えてきた。曖昧で不気味で、生と死を同時に孕んだ詩のような色。
今日は曇り、美術館を後にして、空を見、ふと感慨に耽った。
2022年6月21日火曜日